ごあいさつ
社会福祉法人元気の里とかち 理事長
櫻井 博一
十勝管内で活動する「元気の里」は、様々な職種が集まったボランティア団体でした。平成9年頃から開始された活動は、施設慰問や福祉住宅の見学会、町の清掃美化活動と多岐にわたり、その後、医療・福祉関係職員の加入により、団体の質の向上や会員相互の意識向上も計られるようになりました。
中でも共通の話題に上がっていたことは「大型福祉施設のあり方」についてでした。高齢により認知症や障がいを抱えたとしても、生まれ育った場所で、地域の協力を得ながら暮らしていく、 地域密着型の環境を構築することが出来たらどれほど良いことか・・・
その時から私達は「地域に根ざした福祉を創るために」を団体のテーマに掲げ、新たな活動を模索し、団体の強化をも考えはじめたのでした。平成11年の春、団体にとっては大きな転換の年だったと言えます。
2000年の公的介護保険導入に伴い大きく変化していく社会福祉制度の中、認知症高齢者や障がい者が現状のサービスを維持し更なる階段へ上り続けていけるように、そして支える家族のよき協力者となれるように願いを込め、『特定非営利活動法人(NPO)元気の里とかち』を立ち上げました。
その後、当法人に賛同していただく協力者も増え『社会福祉法人元気の里とかち』へ 改組する事となったのです。『社会福祉法人元気の里とかち』が展開していく事業は、ボランティア団体やNPO法人の時代に培ったノウハウがたくさん詰まっています。
心のこもった暖かいケア・一人ひとりのニーズに答えるケアを追求しスタッフ一同日夜努力をしています。ごく普通のことが出来ない・・・それが従来の福祉施設の現状ではなかったでしょうか。『社会福祉法人元気の里とかち』が地域の皆様と手を取りあい、共に支え合う事で、各市町村における福祉事業の重層化及び活性化にも貢献していくことができると確信しています。
基本理念
社会福祉法人元気の里とかちの理念
社会福祉法人元気の里とかちは、平成23年4月1日に各関係者のご理解の元、社会福祉法人格を取得しました。この法人は平成12年6月に認証となった「NPO法人元気の里とかち」からの事業を継承し、下記の3つの理念に向かい民間社会福祉事業者としての役割を果たしてまいります。
1. 利用者満足
企業に求められているもの、それは「顧客を100%満足させる事」である。 社会福祉法人元気の里とかちの全ての利用者が100%満足いただけるサービスを提供する事こそが私たちの与えられた使命だと考えています。
2. 尊厳の保持
介護保険法や虐待防止法では、尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう各種制度が設けられている。社会福祉法人元気の里とかちは常に利用者の立場に立ち、ソーシャルインクルージョンを実践します。
ソーシャルインクルージョンとは
「インクルージョン」とは「包み込む」という意味で、「ソーシャル・インクルージョン」は「お互いに尊重し認め合う事」「社会的包摂(ほうせつ)」という概念です。さまざまな理由で社会から排除されている人達を再び社会の中に受け入れ、彼らが尊厳ある暮らしができるようにすることを指します。2000年12月に厚生労働省でまとめられた「社会的な援護を要する人々に対する社会福祉のあり方に関する検討会報告書」には、社会的に弱い立場にある人々を社会の一員として包み支え合う、ソーシャル・インクルージョンの理念を進めることを提言しており、ここではノーマライゼーションを更に進めた理念であると解釈しています。
3. 個別支援の充実
全ての施設の全ての援助者は、一人ひとりにあった支援を実践してきたはずである。ただ、それは本当に利用者本位、利用者中心の考えに基づいたものだったのだろうか。社会福祉法人元気の里とかちはエンパワメントアプローチを展開し、利用者のニーズがキャッチできる援助技術を磨きます。
エンパワメントアプローチとは
「エンパワメントとは『力をつける』という意味ではなく、心の中に既にある自分力に気づき、目標に向かって到達していく」ことです。つまりは、一人ひとりが自分の大切さを信じる事から始め、あるがままのすばらしさを認めてくれる人達を集めて行くことと言えます。「差別・偏見などの対象となり本来有している力を発揮しきれない状態にある人々に対して、その力を引き出す援助技法」自ら問題解決を図るアプローチの方法であり、1976年、米国のソロモンが差別・偏見を経験する黒人に対する援助実践の枠組みとしてこの概念を提示した事から始まりました。